相続の相談でよくある、
3つの誤解
「ちょっと、その考え方は誤解かもしれません」
とお伝えしなければならない場面があります。
悪意があるわけでも、無関心なわけでもない。むしろ家族のことをきちんと考えているからこそ、その誤解が生まれていることが多い。
今日は、そんな「よくある誤解」を3つ紹介します。心当たりがあったら、ぜひ最後まで読んでみてください。
相続の誤解①「必要になってきたら動けばいい」
はっきり伝えておきます。
相続が発生したとき、理想の状態は「すべての対策がすでに終わっている」ことです。対策を始めるタイミングは早ければ早いほど、選択肢が増えます。逆に「そろそろ必要かも」と思ってから動き始めると、できる対策は限られてしまいます。
たとえば相続税対策。時間をかけて少しずつ贈与していく方が、最終的には大きな資産を減らすことなく次世代へ移せます。でも「急いでいるから」という状況では、この選択肢が使えない。
さらに言えば、十分な時間があれば、個人に帰属している資産や事業を法人に移して、相続の影響を受けにくい状態にすることだってできます。時間という力は、相続対策において絶大です。
親族一同が安心して生活を送っていける。
認知症が進んできた、転んで入院した、事業承継を考え始めた——相続について考えるきっかけは人それぞれです。ただ、そのタイミングは早ければ早いほどいい。「まだ早い」と思っているうちに動き出すことが、最も賢い選択です。
相続の誤解②「うちは仲が良いから大丈夫」
「仲が良いから揉めない」——それは、そうかもしれません。私もそう思います。
でも「仲が良いから何もしなくて大丈夫」は、話が違います。
「人生には『上り坂』『下り坂』、そしてもう一つ『まさか』という坂がある」
— 小泉純一郎 元首相人生には「まさか」が起きます。誰もが元気なうちは想像できないことが、突然やってくる。そのとき、何も準備していなかったら、どんなに仲の良い家族でも困ってしまいます。
むしろ私は、こう考えてほしいのです。
「うちの家族は仲が良いから、なんでも話し合って決められる。だからこそ、相続のことも今のうちにきちんと話しておける。」
仲の良さを、「何もしなくていい理由」ではなく「きちんと話し合える強み」として活かしてほしいのです。家族の絆が深いほど、事前に話し合える土台があるということ。これは、実はとても恵まれた状況です。
相続の誤解③「分け方をきちんと考えているから大丈夫」
家族のことを真剣に考えている。その姿勢は、本当に素晴らしいと思います。
でも、正直に言わせてください。
「物件を分ける」という発想では、2世代後には何も残らない可能性が高いです。
なぜか。物件を兄弟で分けてしまうと、それぞれが個別に管理・運営することになります。相続のたびに細分化され、修繕費や税金の負担で少しずつ減っていく。気づいたときには、孫の代には何も残っていない——私は相続が理由で売りに出されている優良な収益物件や駐車場を数えきれないほど見てきました。
では、どうすればいいのか。
大家さんの場合、物件を「分ける」のではなく「一ヶ所に集める」ことを考えてほしいのです。その「集める器」が、法人です。
たとえばアパートを3棟お持ちで、家賃収入が年間2,000万円を超えるような規模であれば、個人所有よりも法人所有の方が合理的です。物件をすべて法人に移して「事業」として運営する。そして何を分けるかというと、給与です。
給与は、役割や貢献度に応じて決める。事業を支えている人にはそれに見合った報酬を、そうでない人とは差をつける。やっている人とやっていない人が同じ恩恵を受けるなら、誰もがやらない方向に向かいます。
一家の大切な財産を守り育てていくには、それだけの努力と自覚が必要です。その自覚を持てる環境を、仕組みとして作っておくことが、本当の意味での「子孫への贈り物」だと私は思っています。いきなりは無理であったとしても、「大家業」をきちんとした「賃貸不動産事業」へ変えていくための第一歩はとても大切です。「父」として、「親」として、そして一家の大黒柱として。一歩を踏み出せるのはあなたしかいません。
まとめ
今日紹介した3つの誤解、いかがでしたか?
どれも「家族のことを考えているからこそ」生まれる誤解です。悪意があるわけでも、無関心なわけでもない。だからこそ、気づいたときに正しておきたい。
相続は、早く・正しく・家族全員で向き合うほど、うまくいきます。
誤解したまま進めてしまうと、後から取り返しのつかない状況になることもあります。「ちょっと気になるな」と感じたことがあれば、ぜひ一度、相談してみてください。
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