大家さんの法人化で相続税対策
——賃貸経営「仕組み化」の完全ガイド
大家さんの法人化で相続税対策
——賃貸経営「仕組み化」の完全ガイド
「法人化(仕組み化)」とは何か
私が考える賃貸経営の「法人化(仕組み化)」の定義はシンプルです。
なぜ家賃収入1,000万円が法人化の目安なのか
「1,000万円」という数字には明確な根拠があります。個人の所得税は超過累進課税のため、課税所得が900万円を超えると税率が33%に達します。一方、中小法人の法人税実効税率は約21〜23%です。
つまり課税所得が900万円を超えたあたりから、個人で稼ぐより法人で稼ぐ方が税率が低くなる逆転現象が起きます。家賃収入ベースでは諸経費を差し引いた後の所得が目安となるため、収入1,000万円超が実務上の判断ラインとして使われています。
個人と法人——相続・税務における決定的な違い
- 必ず「相続」が発生する
- そのたびに資産が分散・移転する
- 多額の相続税が発生する
- 親族間の遺産分割が必要になる
- 高い累進税率がかかり続ける
- 事業継続する限り資産は法人内に残る
- 株式の承継のみで対応できる
- 相続税の負担を最小限に抑えられる
- 遺産分割の複雑さを回避できる
- 低い法人税率で運営できる
個人vs法人——税負担シミュレーション(家賃収入1,000万円)
実際に数字で比較してみましょう。前提はシンプルに「控除なし・家賃収入1,000万円」です。
家賃収入:1,000万円 / 個人:所得税+住民税 / 法人:中小法人税率 / 社会保険料は除く
相続の「外側」で運営するとはどういうことか
法人においても事業承継(株式の譲渡など)という手続きは必要です。しかしそれは、個人の相続とは根本的に性質が異なります。
300年続く老舗に学ぶ「継承」のヒント
私は三重県の伊勢神宮へ参拝する機会が多いのですが、その際に必ず立ち寄るのが「赤福」さんです。会社組織になったのは1954年ですが、事業としては300年以上もの間、絶えることなく続いています。
300年以上生きられる人間はいません。しかし事業は、人から人へ、時代を超えて継承し続けることができるのです。大家さんの賃貸経営も同じです。
賃貸経営は「最強のサブスクリプション」である
仕組みをつくって事業を回しさえすれば、相続という枠組みの「外側」で盤石な運営を続けていくことができます。自分が立ち上げた賃貸経営が、孫や玄孫(やしゃご)に受け継がれ、100年・200年と続いていく——これこそが賃貸経営という「最強のサブスクリプションビジネス」の真の可能性です。
大家さんが心血を注いで築き上げてきた大切な資産を、目減りさせることなく次世代へ託すこと。それは最も合理的で、最も愛情深い選択肢だと私は確信しています。
法人化を始める3つのステップ
どの資産が個人名義でどれが事業に紐づいているかを整理します。ここが曖昧なままだと法人化しても効果が半減します。
後継者への株式承継を見据えると株式会社が基本です。設立費用・税務・社会保険への影響を事前に試算しておくことが重要です。
すべての物件を一度に移す必要はありません。税務上の影響を考慮しながら、段階的に移行する計画を立てることが現実的です。
よくある質問
東京都昭島市出身、1976年9月生まれ。2003年に不動産管理会社へ入社後、売買仲介・総合不動産など複数の企業で実務を積む。2011年、東日本大震災を機に独立し宅地建物取引業免許を取得して開業。2012年、祖母の相続発生により親族が相続トラブルの当事者に。自ら問題解決に携わる中で相続の難しさと大切さを痛感し、クライアントからの相続相談にも自然と応じるようになる。2026年、相続コンサルティング事業を本格始動。
不動産現場での20年以上の実務経験と、自身の家族が経験した相続トラブルの当事者経験——その両方を持つ相続コンサルタントとして、「争族にしない相続」をサポートしています。




