でも私自身は、いつもこんなことを考えています。
「分け方」より先に考えることがあるんじゃないか、と。
それは、「誰に・何を・どう託したいか」という「想い」です。
この順番で考えてみると、相続対策の見え方が少し変わるかもしれません。
相続対策は「分け方」より「想い」が先かもしれない
昨日、相続診断士の講習で生命保険の活用と遺贈寄付について学びました。それぞれ専門的な内容の講習でしたが、聞きながら私自身がふと感じたことがありました。
これはあくまで私の解釈なのですが——テーマは違うように見えて、両方に共通する何かがあるように感じたのです。
それが、「想いを形にする」というポイントです。
生命保険は、「この人を守りたい」という想いをお金の形で届ける手段として捉えることができます。遺贈寄付は、「社会の役に立ちたい」という想いを形にする手段として捉えることができます。手続きや制度の話である前に、「何を託したいか」という想いが出発点にある——私はそう感じました。
もちろん、これは私個人の受け取り方です。でも、こういう視点で相続を考えてみると、少し景色が変わる気がします。
3つの問いから始めてみると、どうでしょう
相続対策を考えるとき、最初にこの3つを自分に問いかけてみると、意外と整理がしやすくなります。
この3つを考えてから「節税対策」や「分け方」に進むと、方向性が自然と見えてくることがあります。逆に、この問いを飛ばして手続きから入ると、どこかでつじつまが合わなくなることも多いように感じています。
「誰に託したいか」——意外と考えたことがなかったりします
「財産は子供たちに」——多くの方がそう思っているかもしれません。でも、もう少し丁寧に考えてみると、答えはさまざまです。
特定の子供に多く託したい——介護をしてくれた子、事業を継いでくれる子、生活が大変な子。
孫に託したい——教育資金として、将来の支えとして。
社会に託したい——お世話になった団体、応援したい活動。遺贈寄付という選択肢もあります。
配偶者をまず守りたい——自分が先に逝っても、残された妻・夫が安心して暮らせるように。
「誰に」が少しはっきりしてくると、「何を・どう」という話も考えやすくなってきます。
「何を託したいか」——お金だけじゃないかもしれない
「託すもの」は、お金や不動産だけではないかもしれません。
「想い」も、託せます。
遺言書には、財産の分け方だけでなく、「付言事項」として家族へのメッセージを書くことができます。「ありがとう」「これからも仲良く」「この家を大切にしてほしい」——法的な拘束力はなくても、その言葉が家族の心に残ることがあります。
生命保険の受取人に指定された人は、そのお金とともに「あなたを守りたかった」という想いを受け取ることになります。遺贈寄付を選んだ人は、「社会の役に立ちたかった」という想いを形にすることができます。
財産と一緒に、想いも託せる——そう考えると、相続対策が少し違って見えてくる気がします。
「想い」の中には、その人の人生ストーリーが見える
昨日の講習で、講師の方がこんな話をしてくれました。
「『想い』を聞いていくと、その人の人生ストーリーが見えてくる。なぜそう思うのか——その理由を丁寧に聞いていくと、その人がどんな人生を歩んできたか、どんな経験をしてきたか、何を大切にしてきたかが、自然と浮かび上がってくる。」
このような内容だったのですが、とても心に残りました。
相続の相談を受けていると、最初は「節税したい」「もめないようにしたい」という言葉から始まることが多いです。でも、話を丁寧に聞いていくうちに、その言葉の裏にある「想い」が見えてくることがあります。
例えば、「長男には苦労させたくない」という言葉の裏に、自分が子供の頃に苦労した経験があったり。「家を守ってほしい」という言葉の裏に、先代から受け継いだ思い出があったり。
「想い」はその人の人生ストーリーが見えてくる——この視点を、私もコンサルタントとして大切にしていきたいと、改めて感じました。相続の話は、財産の話である前に、その人の人生の話なのかもしれません。
「どう託すか」——想いを形にする5つの手段
「誰に・何を」が少し見えてきたら、「どう託すか」という手段を考えます。参考になる5つをご紹介します。
大家さんにとって、賃貸事業そのものが「想いを託す」最大の手段かもしれません。物件を渡すだけでなく、経営の知識・マインド・専門家とのつながりを一緒に伝えていくこと。それが、次の世代への最も大きな贈り物になります。
受取人を指定することで、相続の手続きを経ずに特定の人へ直接届けられます。「この人だけは確実に守りたい」という想いを、シンプルに形にできる手段の一つです。
財産の一部を、自分が応援したい団体や活動に託す方法です。「子供たちには十分渡せた。残りは社会に役立ててほしい」という想いを形にできます。まだ日本では少ないですが、近年少しずつ広がっています。
財産の分け方だけでなく、家族へのメッセージも書けます。「付言事項」として添えた一言が、家族の絆を深めることがあります。
遺言書や保険は「亡くなった後」に伝わるものです。でも、生きているうちに直接伝えることもできます。「なぜこう考えているのか」を家族と話し合うことが、最も温かい想いの託し方かもしれません。
まとめ——「想いを託す」という視点で相続を考えてみると
相続対策は、節税でも手続きでもなく、「想いを託すこと」かもしれない——私はそう感じています。
「誰に託したいか」「何を託したいか」「どう託すか」——この3つの問いに向き合ってみると、相続対策の方向性が見えてきます。
あなたが今、家族に託したい「想い」は何でしょうか?
その想いを形にするためのヒントが、この記事にあれば嬉しいです。
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