——「想い」が託される瞬間に立ち会える。
託す × 想い × 大家さんの相続
50歳になって、
「託す」ことが増えてきた気がします。
仕事を託す。家のことを託す。子どもの教育を託す。
そして相続の仕事では、誰かが想いを託す場面に立ち会うことも。
今日は、私がなぜ相続の仕事をしているのか——
その理由をお話しします。
50歳を迎えて、「託す」ことが増えてきた
年齢的なものもあるのでしょうか。
最近、何かを「託す」場面が増えてきたと感じています。
託すものは、人によってさまざまです。
事業を後継者に託す。仕事を部下に託す。家事を家族に託す。子どもの教育を先生に託す。
最近、私にとって印象に残っているのは、子供の教育環境です。
お世話になる先生とお話ししたとき、
「この先生なら、きちんと子供たちを正してくれる。ここにいる上級生達なら娘の模範になってくれる。」
——そう思えて、心からほっとしたのを覚えています。
親として、娘のすべてを自分だけで見ることはできません。
だからこそ、信頼できる人に託す。
託せる相手が見つかったときの安心感は、何にも代えがたいものでした。
託すことは、渡すことより難しい
「渡す」と「託す」は、似ているようで違う——私はそう思っています。
物やお金は、渡せば相手の手に届きます。
でも、「託す」には、渡す側の想いと、相手への信頼がセットになっています。
そして、想いは目に見えません。
形にしないと、伝わらないまま終わってしまうことがあります。
「親が何を考えているのか、ちゃんと聞いたことがない。」
「物件のことは、父がひとりで全部やってきた。」
「いつか話そうと思いながら、もう何年も経ってしまった。」
「聞いたら、財産目当てだと思われそうで……。」
この「わかっているけど、切り出せない」という状態が、
親の世代にとっても、子の世代にとっても、一番もどかしいのかもしれません。
想いは、形にして初めて手渡せる
大家さんの不動産には、物件そのもの以外にも、引き継ぐべき「もの」がたくさんあります。
こうしたことは、親の頭の中にだけあることがほとんどです。
- 聞いたときはわかったつもりになる
- 時間が経つと、細かいことを忘れてしまう
- 金融機関や管理会社の担当者が変わると、経緯がわからなくなる
- 何度でも読み返せる
- 親の考えが、そのままの言葉で残る
- 誰が担当になっても、引き継ぎの土台になる
形にしておかなければ、相続のときに初めて「何もわからない」と気づくことになります。
遺言のような大げさなものでなくてもいいのです。
親の考えを、子どもが読んでわかる形にしておく。それだけで、託されたものの重みがまったく変わります。
親が子に「経営のやり方」を伝えておくことの大切さについては、以前、「魚を与えるな、魚の釣り方を教えよ」という言葉を題材に書いたことがあります。物件を渡すだけでなく、想いと一緒に引き継ぐという点で、今日のお話と根っこでつながっています。よろしければ合わせて読んでみていただけたらうれしいです。
関連記事魚を与えるな、魚の釣り方を教えよ——大家業を「継がせる」のではなく「育てる」という発想良い面ばかりではない。それでも、私がこの仕事を選ぶ理由
物事には、良い面と悪い面がある——私はそう思っています。
それは、仕事や人間関係も例外ではありません。
私は長年、不動産の仕事をしてきました。
管理会社、収益物件の建築会社、不動産仲介会社、地元の不動産屋。
そして、自分自身も不動産のオーナーです。
今は相続コンサルタントとしてみなさまから相談をお受けしています。
ご想像の通り、
相続にまつわる仕事は、すべてが良い状況ではありません。
権利の調整がうまくいかない場面に立ち会うことも、少なくありません。
「どうやって戦えばいいのか」という相談を受け、
弁護士の先生と一緒に対応しなければならない場面もあります。
それでも、私は相続の仕事が好きです。
一人の人間が人生をかけて大切にしてきた「想い」を、誰かに託す場面に立ち会えたとき。
何とも言い表しがたい喜びや安堵感を感じることができるからです。
財産の分け方や税金の計算も、もちろん大切です。
でも、その奥にあるのは、「家族にこうあってほしい」という親の願いです。
つらい場面も見てきたからこそ、
その願いがまっすぐ次の世代へ手渡される瞬間の尊さが、身にしみてわかります。
想いは、目に見えない。
だから、聴いて、形にして、手渡す。
その瞬間に立ち会えることが、
私の仕事の喜びです。
「誰に・何を・どう託すか」という視点については、別の記事で詳しくお話ししています。今回の話の土台になっている考え方なので、あわせてご覧いただけたらうれしいです。
関連記事財産より大切なものを託す——「誰に・何を・どう託すか」から始まる相続対策私にできること——想いを聴き、形にし、専門家につなぐ
私が皆様をサポートできるのは、次のようなことです。
不動産の現場を長年見てきたからこそ、
大家さんの「頭の中にしかない情報」を、家族に伝わる言葉に置き換えることができる。
それが、私の役割だと思っています。
大家さんの相続で「そもそも誰に相談すればいいのか」と迷われている方も多いと思います。専門家ごとの役割の違いについては、こちらの記事にまとめています。
関連記事大家さんの相続相談、誰に頼むべきかまとめ——相続は、想いを託すリレー
- 50歳を迎えて、「託す」ことの重みを感じるようになりました
- 「渡す」と「託す」は違います。託すには、想いと信頼が必要です
- 想いは、形にして初めて次の世代へ手渡せます
- 相続の仕事は良いことばかりではありません。それでも、人生をかけて大切にしてきた想いが託される瞬間には、何とも言い表しがたい喜びがあります
相続は、財産を分けることではなく、
想いを次の世代へ手渡すリレーです。
宮川からのひとこと
実は私も、直筆の遺言書を書いています。
書いてみてわかったのは、「託す側」になると、
伝えたいことが思っていた以上にたくさんあるということでした。
いつか、私が大切にしてきたものを、子供に託す日が来ます。
そのとき、きちんと「想い」が届くように——
今のうちから準備しておきたいと思っています。
あなたのご家族も、言葉にしていない想いを抱えているかもしれません。
その想いを、一緒に聴いてみませんか?




